「草枕」を読了。
冒頭は有名な文章から始まります。
「智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」
まあ要は「生きていくのはマジめんどくせー。」と言っているのですね。
同感です。
現実って煩わしいですよ、実際。ね。
めんどくさいのでひとつ旅にでも出ますか。
ということで、主人公の画家は寂れた山里の温泉宿へ行くわけです。
いいですねぇ、画家って職業は。
つまり、これは画家が一枚の画を描くまでの心理をつぶさに表した小説なのです。
画家はひとりの女性に出会います。
そして彼女の表情を追って行きます。
非常に美しい女性です。
美しい着物、美しい所作、そして美しい景色のなかで静かに生きる女性です。
その女性は謎めいた生い立ちを持ち、勝ち気で、不思議な魅力があります。
それだけで充分に画になる。
しかし、画家はその顔に何かが足りないと思う。
それが現れる瞬間まで何日も何も描かないで泰然自若としているのです。
小説の最後のセリフ。
画家は彼女の表情を刹那に捕らえてこう言います。
「それだ!それだ!それが出れば画になりますよ」
さて、どんな表情だと思いますか。
答えは・・・さあ、読んでみてください。
草枕は主人公の画家とともに一枚の名画を完成させるような小説です。
読み終わった時にその画が心の中に浮かびあがる仕組みです。
素敵な小説だと思いませんか。
漱石はなかなか憎いことをしますね。
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