2011年4月3日日曜日

「夫婦茶碗」町田康

以前Barで会話した小説家志望という方にどの作家が好きか、と聞いたら町田康と答えた。
町田康?誰だろう。
読書時間を無駄にしないため生存中の作家は基本的に読まないことにしている。

しかし町田康作品のアマゾンレビューは高評価ばかり。
なにがこれほど人を惹きつけるのか。
気になって読んでみた。

ああ、なるほど。
久しぶりにレベルの高い、くだらない小説を読んだ。

ひとことで言えば、頽廃の美学。
わたしが要約すると陳腐としか言いようがないので
ちょっとアマゾンから紹介文を引っ張ってきましょうか。

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金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。
それはメルヘン執筆。
こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!
あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。
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頽廃の美学の究極は、それでもなお「生きている」ということではないだろうか。
ここに人を惹きつける鍵がある。
胡散臭いダメ人間がこの世のどこか底辺で生き続けている。
八方塞りでまったく希望がないように見える。
なのに生きているというたくましさ。浅ましさ。
時には何か学ぶものがあるように思います。

堕落するのは悪いことだとは言わない。
一度堕ちるところまで堕ちてみなければ分からないものがある。
さて、問題はどこまで堕ちれるか。
そしてどん底から、なにを拾ってこれるか。

ともあれ町田康。
気取った生き方に辟易した人には良い薬となり、
怠惰な生き方に慣れた人には慰めとも、はたまた警句ともなりましょうか。

「夫婦茶碗」のほかに「きれぎれ」「くっすん大黒」「屈辱ポンチ」も併せて購入しました。
これらはまだ読んでいませんが、
どれを読んでもおそらく同じものしか見つからないような嫌な予感がする。

頽廃の美学は立て続けに読むと体に毒です。


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