人間には経験を積まなければ分からないこともある。
まわれ右1回と、まわれ右5回は同じ結果のようでも、
まわった回数分だけ見てきた景色が違う。
悩みながら、あちこちぶつかり反発しながら、心が傷だらけになりながら
まわれ右を5回してやっとたどり着いた場所で、
ある人がわたしをとても励ましてくれたことがある。
遠回りをしたね、とは言われなかった。
まっすぐな目で「あなたの歩いた道のりは正しかった」と言った。
あなたの選択は正しかった。
あなたはたった一人でよくぞここまで歩いてきた。
僕はあなたを誇りに思う。
わたしはその言葉に大粒の涙をこぼした。
分かってくれる人がいた。分かってくれる人が。
間違ってなかった。間違ってなかったんだ!
自分を卑下する境涯から一気に解き放たれ、
自己の大肯定という、人生の確かな大地へ引っ張りあげてくれた。
あのときのわたしは、精神も肉体も歓喜そのものと化していた。
「嬉しくて・・・嬉しいんです・・・。」
感謝の言葉は、経験したことのないほどの歓喜に押し流されて
なかなか声にならなかった。
きれぎれのわたしの言葉を聞いておだやかに頷いたあと、
その人はこれまで以上に力強い言葉でゆっくりとわたしに教えてくれた。
あなたは今日のことをずっと忘れないようにしてください。
とても貴重なことを学んだのです。
『人を励ます』とはこういうことです。
最初にその人の全てを受け止めるのです。
そのあとで具体的にひとつ、ひとつ激励するのです。
いいですか。この順番が大事です。
次はあなたが誰かに同じことをしてあげる番です。
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