2010年10月5日火曜日

動機

よく一人で空を見た。
寒い冬の朝のベランダ。冷たいサンダル。肺が痛くなるほど白い息。
よく一人で星を見た。
寂しさのかたまりのような硬い光だった。
よく一人で風に吹かれた。
ひとりぼっち、というささやきが聞こえた。

半年間、言いたいことを結局何も言わなかった。
言えなかった。
ただ、ひたすらすべてに耐えた。
打算的でありながら、非常に忍耐強くもあった。
とにかくさびしかった。
よく一人でに涙が落ちた。
一日の中に、永遠の寂しさが凝縮していた。

自由のない生活。
喜びのない生活。
希望のない生活。

入ってきた場所にもう出口はなかった。
出口のない生活。

自力で飛び出してくるしかない最終手段。
少し思慮深くなったわたしは、後足で誰かを蹴ったりしないように気をつけた。

そして、いまここにいる。

あの時、言わなかった言葉たちは消えてなくならなかった。
力づくで、ぐっと飲み込んだ半年分の自己主張は、わたしを無口にしたけれど
ある時、ふと気づく。
語られなかった言葉たちを語る場所をつくろう。
葬り去られたあの悔しさ、あの悲しさ、あのつらさ。
誰にも打ち明けられない正直な気持ち、誠実さ、真剣さ。

わたしは「つらい」という体験をした。
「悲しい」も「寂しい」も「助けてくれ」もセットで味わった。

半年後に、わたしはすべてを希望に変えた。
ものすごい馬鹿力を出して、自分を変えた。環境を変えた。
今まで言えなかった何もかもを
「い・や・だー!」の3文字に変換して叫ぶ。
半年分の忍耐は、猛烈な突破力になった。

それで、いまこうして笑っている。

よし、何か書こうという気になった。
言葉にならない喜び、語りつくせない希望、声にならない寂しさ。
そういう言葉たちをさがしている。

葬り去られたすべてを
抱きしめるように書きたい。

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