2010年10月31日日曜日

「十二夜」シェイクスピア

喜劇です。

海で船が難破して双子の兄妹がそれぞれ離れ離れに。
別々の人に助けられにお互いに死んだと思い込んでいる。

妹は男装してセザーリオと名乗り、恋焦がれていたオーシーノ伯爵に仕える。
オーシーノ伯爵は、ある美しい女性オリヴィアに恋していて、
恋心を伝えるためにセザーリオを使いに出す。
セザーリオを見たオリヴィアは本当は女性であるセザーリオに恋をしてしまう。
これで三角関係が成立。

しかし顔がそっくりの双子の兄が登場して話はもっと複雑に・・・!!

文句なく面白いです。
ハッピーエンドですが、ひと味辛味を効かせているあたり、シェイクスピアらしい。


笑えるのが、ちょっと頭の悪いお坊ちゃんのアンドルー(オリヴィアに求婚中)が、
悪い仲間にせかされてセザーリオに決闘を申し込む果たし状を書いてくるシーンがあります。




アンドルー:ホレ、果し状だ。読んでくれ。思いっ切り、辛味とスゴ味、きかしといたからな。

トービー  :よし、よこせ。(読む)「バカヤロー。テメェが何者だろうと、テメェはコノヤローだ」

フェビアン:いいねえ、勇ましいねえ。

トービー :「驚くなかれ、呆れるなかれ、ボクがなぜお前をそう呼ぶか、その理由を、ボクは断じて白状するつもりはないゾ」

フェビアン:いい調子だ。白状しなきゃ、法律に触れる心配ないもんねえ。

トービー :「お前はオリヴィア姫のところへ来て、ボクが見てる目と鼻の前で、彼女はお前を親切にする。しかしお前は大嘘つきだ。それこそは、ボクがお前に決闘を申し込む理由ではないなり」


フェビアン:いやあ、まさしく、簡にして要を得て―ない。


トービー :「ボクはお前がおうちに帰るところを待ち伏せするぞ。もしお前が幸いにしてボクを殺せば―」

フェビアン:ホウ、ホウ。


トービー :「お前はゴロツキとして、かつ悪者としてボクを殺すぞ」


フェビアン:相変わらず法律の網には引っ掛からない。おみごとですな。


トービー :「では、御機嫌よう。神様が、ボクら二人のどっちかの魂の上にお恵みをください。ひょっとかすると神様は、ボクの魂の上にお恵みをくださるかもしれんが、ボクは天国に行くつもりなんかサラサラないぞ。だから、よくよく気をつけるんだぞ、クソクラエー。お前の出方しだいで、お前の友だち、でなかったら、お前の目の敵になってやるからな。アンドルー・エイギュチークより」




このやりとりはなかなか笑える。
最後の「お前の出方しだいで、お前の友だち、でなかったら、お前の目の敵になってやるからな」が
かわいい。わたし的に萌えた。



そしてこのセリフ。
シェイクスピアは忘恩こそ人間のもっとも恥ずべき行為として考えていたのですね。

私、なんにも、知りません。そんなこと。
あなたの声も知らなければ、顔にもなんの見覚えもない。
受けた恩を忘れるほど、私の忌み嫌うものはほかにない。
嘘をつく、ホラを吹く、酔ってクダを巻く ― そのほか何であろうと、
人間の弱い血にまとわりつくいかな悪徳、いかに強力な罪であろうと、
恩を忘れるほどおぞましいものはどこにもない。
私は、そう考えております。

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