ある人を忘れられない。
美しい名前を持ち、美しい目と細い身体を持った、ひとつの魂。
わたしたちは互いに戦士だった。
しかもハッピーエンドを信じる戦士であった。
人間は生きたり死んだりする。
わたしは生き、ある日、死ぬだろう。
それは善悪ではない。
ただ、状態を状況に応じて変化させるだけだ。
そして彼女は死んだ。
それはやはり善悪ではない。
ただ、状態を状況に応じて変化させただけだ。
窓を開けるとカーテンが風に揺らめくように、わたしたちは必然的に生きる。
ある日、静かに窓を閉めて風がやむと、カーテンは死ぬ。
戦士は次の戦地へ行くまでの間、風のない丘で深い眠りにつく。
夢を見ているかもしれない。
生きて、死んで、また生きて。
いつかこの戦いには終わりが訪れる。
パーフェクトなハッピーエンドだ。
そのとき、わたしは彼女のたくさんの名前を全部思い出すだろう。
やっと言えるかもしれない。
あの時も、あの時も、あの時も、
ずっとあなただった、ありがとう、と。
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