2010年2月11日木曜日

教えられ下手

2010-42

昔から人にものを教えるのが上手だと言われてきた。
教えるのも好きだった。
自分は学校の先生に向いているかもと思ったりもした。

社会人になり、先輩になり
人に仕事を教えるようになった。

仕事を教えてきて、教えられた側からの評価も
「とてもわかりやすいです」というものが大方だったから
まあ、教えるのが得意といっても怒られはしないだろう。

最近生活のためのアルバイトを始めて
教えてもらう立場になった。
それで気づいたことがある。

わたし、教わるの下手。

別に、私のプライドが富士山より高くて
「他人に教えを乞うなんて嫌!」とかではない。
教える人の教え方が下手くそだと、
理解度が普通の人以下になる、ということだ。
それに気づいたのは先日、
アルバイト先の店長からお店のルールやレジ操作、
オーダーの通し方などを教えてもらった時だった。

ひとつ教わるごとに理解度20%、不可解度120%
どんどん脳内が混乱していく。
私ってこんなに頭悪かったっけ?

混乱してどんどんワケが分からなくなっていく。
ミスしまくる。その上、何をミスったのかすらわからない。
店長に注意されて
「あの・・・いま、私ミスしたんですか?」と恐る恐る聞く始末。
何が起こってるのかさっぱり。
理解ができていない私をよそに次々と新しいことを教えまくる店長。
私はその場で頭を抱えてしまった。

あまりの物覚えの悪さに教える側が頭を抱えるなら分かるけど
教えられる側である私が頭を抱えるっていう状況が珍しくて
思い出すとちょっと笑える。

それでちょっと冷静になって、
分かっている部分から勝手に復習しだした。
店長は新しいことを教えるのをやめて、私を放置してくれた。

ついさっきメモを取ったノートを見ながら
教えてもらったことを順番に思い返してみると、
その順番がひどくバラバラであることに気づく。

複雑多岐にわたることを飛び飛びでぐちゃぐちゃに教わって、
あとから抜け落ちた部分の穴埋めをやらなければならなかった。
まるでバラバラのパズルのピースをほいほい渡されて
「どんな絵か言ってみろ」と言われていたような感じ。

なぜ自分が大混乱していたかが理解できたので、
今度は自分の頭の中で教わったピースを正しそうな位置に並べて行く。
ピースの足りない部分をひとつずつ店長に質問して埋めていった。
さっきミスした場所が見つかり、なぜミスしたのかもようやく理解できた。

なるほど、店長は教えるが下手なのか。

店長の教え方には特徴があって、
個々の手順を区切ることなく、自分がやっているペースで一気に語る。
つまり「こうしたらこうやってこれをこうしてこうです」みたいな一言。
だから聞いている私は
「こうしたら・・・こうやって・・・えーと、これを・・・」となる。
その確認の最中に、新たな要素を織り交ぜてさらに教える。
「もう一回言うよ、こうしたらこうやって、あ、この時にこういう場合があるからそうなったらこうしながら、これをこうしてこうです」

もうワケがわからない。

教える口調も下手だ。
言葉のすべての要素が全部同じトーンで語られていた。
「ここは特に注意してほしい」という意味の強調やメリハリがない。
だから頭に入らない。
動作に結びつかない。


でも店長ばかりが悪いわけでもない。
私も教わるのが下手なんだと自覚した。

私の物事のとらえ方にも何かしら癖があって
きっと色んなことをそれに当てはめながら聞いているのだろう。
携帯の予測変換のようなもので
このパズルのピースがきたら次はその隣のピースをもらえるはず
と期待しながら待っているので、
ぜんぜん違うピースを渡されてしまうとお手上げ状態になるのだ。

教えている店長のほうは
「物覚えが悪いなー」「なんで分からないんだ」
と内心思っているかも。

私はなんとなくだが店長の教え方の癖がわかったので
バラバラのピースでも、ようやくついていけるようになった。

「上手な教え方」についてはアレコレ考えてきたけれど、
「上手な教わり方」についてもどうやら研究が必要だ。

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