2010年1月4日月曜日

「地球の用事」

2010-4

NHKスペシャルで100歳の詩人まどみちおさんの特集を観ました。

♪ぞうさん、ぞうさん、お鼻が長いのね♪
「ぞうさん」

♪白やぎさんからお手紙着いた、黒やぎさんたら読まずに食べた♪
(やぎさんゆうびん)

などなど子供の童謡でしか知らなかったまどみちおさん。
その世界を見る目(感性)と自由でやさしい詩に本当に感動した。

この「ぞうさん」について、まどさんは
「ゾウって言うのは他のどんな動物よりも鼻が長い。
それは個性のようでもあり、欠点のようでもある。
そんなゾウに面と向かって『あなた鼻が長いね』って言ったらゾウは怒るかもしれない。
ところがゾウはこう答える。『そうよ、母さんも長いのよ』と。
自分の鼻はそのまんま大好きなお母さんとおんなじだから、ゾウは嬉しいんだよ」
と語っていました。

なんとー!!

本当に感動してしまいました。
番組で紹介されていた詩はどれも素敵でした。
次のふたつの詩も好きです。

「アリ」

アリを見ると
アリに たいして
なんとなく
もうしわけ ありません
みたいなことに なる
いのちの 大きさは
だれだって
おんなじなのに
こっちは そのいれものだけが
こんなに 
ばかでかくって‥‥

「地球の用事」

ビーズつなぎの手からおちた

赤いビーズ

指さきから ひざへ

ひざから ざぶとんへ

ざぶとんから たたみへ

ひくいほうへ

ひくいほうへと

かけていって

たたみのすみのこげあなに

はいってとまった


いわれたとおりの道を

ちゃんとかけて

いわれたとおりのところへ

ちゃんと来ました

というように

いま あんしんした顔で

光っている


ああ こんなに小さな

ちびちゃんを

ここまで走らせた

地球の用事は

なんだったのだろう


手のひらからこぼれ落ちたビーズが畳を転がっていって、止まる。
その身近な出来事が、まどみちおさんの視点によって、
“地球の用事”という宇宙大の大きさに転換されて「はっ!」と気づかされた。

ほんとうに、地球の用事はなんだったのだろう?
不思議、不思議。

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