2010年8月29日日曜日

「ことばになりたい」一倉宏



一倉宏さんのコピーが好きだ、といったら
友人が貸してくれました。

一番好いなと思ったのは
国語の先生がしてくれた「桜」の話
というタイトルの詩。
卒業生への贈る言葉です。

引用します。

国語の授業のあるときに
日本の古典文学で ただ「花」とあることばは
「桜」のことを指していると
お話したのを憶えていますか
「花」といえば「桜」は暗黙の了解でした

それほど日本人は「桜の花を愛してきた」といえます
しかし「愛する」ということばを
ただの「大好きな気持ち」とは考えないでください

きょうは その話をしたかったのです

日本の昔のひとがつくった詩 歌を読むと
「桜」という花を 単純に「好きだ」ということはなく
むしろ「悔しい」とか「悲しい」「切ない」
という気持ちで 表現しています
「桜の花」は美しいけれど あまりに短い時間で散ってゆく
そのことに「胸を痛める」歌ばかりなのです

先生は これが「愛する」ということばの
ほんとうの意味ではないかと思います


先生、ありがとう。

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