2010年8月29日日曜日

「室生犀星詩集」

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土いどの乞食(かたゐ)となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや

この詩を口ずさみながら寝転んで白い天井を眺めていたら
突然「ふるさと」から電話がかかってきた。

「10月にそっちに行く用事ができたから、そのときは前もって連絡するわ」と母。

ふるさとは遠いところにあって思うもの
そして悲しく歌うもの
もし落ちぶれて異郷の乞食になったとしても
帰るところではあるまいよ


心配してくれるな、母よ。
たとえ歯が痛くても、仕事を失っても、男に騙されても
決して親に泣き言はいわない娘になりましたよ。
だから安心して、楽しみだけに残りの人生を使ってください。

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