2010年8月31日火曜日

「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹




人気作家の、プライベートをのぞいてみたい。
でも全部知ってしまったらもしかして予想外にガッカリするかも。

知りたい。

知りたくない。

そんな葛藤を抱える春樹フリークにはうってつけの本。
走ることについて。と、小説を書くということについて
ほら、ここに春樹が語っていますよ。

冒頭、「まえがき」の中で彼がなかなか良いことを書いている。


"Pain is inevitable, Suffering is optional."
「痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第)」

たとえば走っていて「ああ、きつい、もう駄目だ」と思ったとして、
「きつい」というのは避けようのない事実だが、
「もう駄目」かどうかはあくまで本人の裁量に委ねられていることである。
この言葉は、マラソンという競技のいちばん大事な部分を簡潔に要約していると思う。


そしてこの本の最後を、なかなか憎いセリフで結んでいる。


もし僕の墓碑銘なんてものがあるとして、その文句を自分で選ぶことができるのなら
このように刻んでもらいたいと思う。

 村上春樹
 作家(そしてランナー)
 1949-20**
 少なくとも最後まで歩かなかった

今のところ、それが僕の望んでいることだ。



「苦しみはオプショナル」


さすが村上春樹。センスいい。
さらりというあたり、相当ストイック。

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